認知症

Ⅳ.母在宅介護2

はじまり

このまま家でもみていけそうだ 母が老健から一時退所して一定期間を家で過ごしたら戻る予定で 老健の職員の方からも「またね」といって送り出してもらったが 家に帰ってくると老健に入所する前より足腰もしっかりして 人に頼らず何でも自分からしようとす...
Ⅲ.父の入院と介護

温度差

「あ、お蕎麦屋さんが来た」どこかの病室のドアがバタンと開く音が聞こえるとベッドに寝ている父が言った 父の病室にお蕎麦屋さんが来るわけないが父はお腹が空いてるのかなと思いながら認知症の思考回路には逆らわず私は、「あ、そう」と相槌をうった 誤嚥...
Ⅲ.父の入院と介護

横紋筋融解症

父が立てなくなってしまったのは横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)という聞きなれない名前の病気のせいだった 生まれて初めて聞いたこの珍しい病名が不思議でたまらなくて何度も反芻してオウモンキンユウカイショウを記憶にしっかり留めた 父が救...
Ⅲ.父の入院と介護

別世界

朝、自室で目を覚ますと部屋中が煙だらけで真っ白になっていた 火事!? 何が起こったかわからないがとにかくただ事ではない! 慌てて飛び起きて1階まで階段を降りていくと 自室よりもさらに真っ白の密度が濃い煙と焦げた臭いのキッチンで父が「火事だ、...
Ⅲ.父の入院と介護

自転車回収

会社が午前半休の日だったので身支度を整えてそろそろ仕事に出かけようかという時に家の電話がなった 丁度電話の近くにいた私が受話器を取ると 救急車の隊員の方からで父が自転車で転んで病院に運ぶところだが父のかかりつけの医者があれば教えてほしいとの...
Ⅱ.母在宅介護1

旅行の朝

ふと気づいたら家の中のどこにもいない 社員旅行の日の朝、母が突然いなくなった何度探しても家の中のどこにもいない家の外も探したが見当たらない 社員旅行といってもその年は、いくつかある旅行先の行きたい場所を選べたので介護中の自分は海外ではなく国...
Ⅱ.母在宅介護1

真冬の夜遅く介護中の母と何故タクシーで?

医師の診察が終わり寝問着しか着ていない母に自分が着てきた冬物のロングコートを着せて真冬の夜の厳しい寒さに母が震えることのないようにしっかりコートのボタンもしめて母と二人、タクシーに乗って家に帰る 会社のブラウスとスカートの制服にカーディガン...
Ⅱ.母在宅介護1

露程も思わなかったこと

このまま家でもみていけそうだ 母が老健から一時退所して家に戻ってきて一定期間が過ぎたらまた老健に戻る予定で 老健の職員の方からも「またね」といって送り出してもらったが 家に帰ってきて日常生活を送っていると老健に入所する前より足腰もしっかりし...
Ⅰ.突然・・・

任務遂行

何度目の母の入院の時か忘れたが明日も病院に行くねと母に告げた翌日に雪が降った 会社帰りにいつもの電車とバスを乗り継いで病院に向かったが かなりの降雪で電車もバスも遅れに遅れてもう消灯時間も迫ってきて間に合わないかと思ったが あと15分くらい...
Ⅰ.突然・・・

再入院

診察室で母がいつから躁状態に戻ったのかと母の担当の先生に聞かれて私はちょっとぶっきらぼうに退院した日からだと答えると 先生はえーっ?と少し余裕のあるそんな馬鹿なと言いたげな様子だったが診察を受けるとすぐに母の再入院は決まった この再入院の前...