認知症

Ⅳ.母在宅介護2

モヒカン

「○〇(←母の名前)さんんのかっこいい髪形が好きです」 毎年母の誕生日にグループホームの職員の方々からのメッセージと母の写真が貼られたカードをいただいていた 冒頭の言葉は、ある年の誕生日カードに職員の方が書いてくださったメッセージだがその頃...
Ⅳ.母在宅介護2

おはようってなぁに?

朝、いつものようにベッドで寝ている母に「おはよう」と声をかけると 「おはようってなぁに?」と尋ねられた 自分がどこにいて何をしているのか自分が誰なのか分からなくなったり 年齢を尋ねると時には6歳と答えることもある母がおはようが分からなくても...
Ⅲ.父の入院と介護

あら、そう

「あら、そう・・・」その後にお悔やみの言葉が続くのを無意識のうちに期待していたがわかりましたというような意味以外の言葉が福祉の係の方から発せられることはなかった 父の介護が必要になってから福祉の係の方には色々とお世話になっていた ある時は父...
Ⅳ.母在宅介護2

夜中のトントン

夜中にトントンと部屋のドアを微かにたたく音が聞こえた気がした 気のせいかと思ってまどろんでいるとまた微かにドアをたたく音が聞こえる もしかしてと思ってドアを開けると寝間着姿の母が立っている 昼間でも机や家具を頼りにしながら家の中を歩く母が電...
Ⅴ.それから・・・

書きかけの寄せ書き

「早く元気になりますように」「またお会いするのを楽しみしています」 母が亡くなって自宅に安置されている時にお世話になっていたグループホームの職員の方が届けてくれた母の顔写真が真ん中に貼られた寄せ書きの色紙は その死があまりにも急だったことを...
Ⅴ.それから・・・

お兄さんたちの事

夜勤明けのグループホームのお兄さんが親族だけの葬儀を数日後に控え家に安置されている亡くなった母に会いに立ち寄ってくれて 母がグループホームで好んで飲んでいると聞かされていたジョアを上着の懐のあたりから、さっと取りだしさり気なく手向けてお線香...
Ⅳ.母在宅介護2

おねえさん

思春期の頃から親が鬱陶しくて 母とちゃんとした大人の会話をしていなかったせいか 母の認知症が進んで私を呼ぶのに「おねえさん」とか「すみませんが・・・」とか私の事が分からなくなって面識のない他人に話しかけるようにされても 母との深い思い出も特...
Ⅳ.母在宅介護2

温かい手になりたい

「私も温かい手になりたいの」 冬のある日デイケアから戻ってきた認知症の母の冷えて冷たくなった手を 自分の両手で包んで温めていた時に母の口から出てきた 「温かい手になりたい」心がふわっと温かくなるかわいいお願い このくらいのお願いなら私にもか...
Ⅴ.それから・・・

鉄の扉

インターホンを押して名前を名乗ると職員の方が鉄の扉を内側から開けてくれる 母が入院した病院や老健そして最後にICUに入院した時にも母は鉄の扉の内側にいた 鉄の扉は扉の外の世界で生きるのが難しい人や 扉の外の世界の有害なものから守らなくてはな...
Ⅳ.母在宅介護2

むすめがかえてきますように

グループホームでのある年の七夕の短冊に震えるような字で「むすめがかえて(帰って?)きますように」と書かれていた 母は、一度目の結婚で生まれて1年も経たない子をおいて家を出されて 2度目の結婚で生まれた私は幼少時に交通事故で生死の間をさまよう...