Ⅳ.母在宅介護2 眉間のしわ 母は時々眉間にしわを寄せ口を一文字にしてうつむき加減に難しそうな寂しそうな困ったような顔をしていた 認知症の母のそんな表情は深刻さを感じさせるものではなく小さな子供が悩んでいるようでどこか可愛らしくもあり その表情を見るとまたこの顔をしてる... 2020.10.11 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 プロ 足が痛むようで立たせようとすると顔をしかめて歩くことができなくなった母 どこがどう痛むのか 「ここが痛い?」と訊ねると足や足以外でも触るところすべて痛いと答える母 このまま、もう歩けなくなってしまうのか・・ そして寝たきりになってしまうのか... 2020.10.01 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 ぶらぶら 母の背中側から両脇の下に腕を入れて身体を支えて歩かせようとすると 時々母は足を浮かせてぶらぶらさせて体重を預けてくることがあった 小さな子供のお茶目な悪戯のようでクスっとする 身体も小さく足腰も弱って認知症も段々進んでいって 自然と私が母の... 2020.09.30 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 大事件 触ってはいけない不浄なものだという事が認知症の母には分からなくなっていて 便が出てしまったおむつの中に手を入れてしまう おむつの中が気持ち悪くて落ち着かなくて手を入れてしまうのか本人は普通に動いているだけなのだろうが 発見してしまったらすぐ... 2020.09.28 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 あやつり人形 暑い夏の日親戚の車で母の父親のお墓詣り 外歩きは車いすの親戚の叔父さんと母はお留守番で静かに冷房の効いた車の中 叔母達と私でお墓参りを終えると 田舎で取れたてのみずみずしい梨や甘くて柔らかい桃や、すいかを歓談しながらごちそうになって 帰りの... 2020.09.26 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 東京新聞 昔、一時期家で東京新聞をとっていた 東京新聞と家族のかかわりはそれだけだったけれど いつのまにか母の頭の中では私が東京新聞に勤めていることになっていたようで 「東京新聞取り始めました」と、介護関係の方が私に話してくれた時にはああ、そうなんだ... 2020.09.25 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 モヒカン 「○〇(←母の名前)さんんのかっこいい髪形が好きです」 毎年母の誕生日にグループホームの職員の方々からのメッセージと母の写真が貼られたカードをいただいていた 冒頭の言葉は、ある年の誕生日カードに職員の方が書いてくださったメッセージだがその頃... 2020.09.22 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅳ.母在宅介護2 おはようってなぁに? 朝、いつものようにベッドで寝ている母に「おはよう」と声をかけると 「おはようってなぁに?」と尋ねられた 自分がどこにいて何をしているのか自分が誰なのか分からなくなったり 年齢を尋ねると時には6歳と答えることもある母がおはようが分からなくても... 2020.09.22 Ⅳ.母在宅介護2
Ⅴ.それから・・・ 父のあしあと ご近所の家まで町会費の集金に出かけて玄関のインターホンを鳴らすと 鼻にチューブを入れたおじいさんが玄関の横の部屋のサッシを開いて顔を出した 自分の名前と用件を告げるとおじいさんは部屋の中を何かゴソゴソと探し始めてのど飴の入った袋を町会費を用... 2020.09.21 Ⅴ.それから・・・
Ⅳ.母在宅介護2 夜中のトントン 夜中にトントンと部屋のドアを微かにたたく音が聞こえた気がした 気のせいかと思ってまどろんでいるとまた微かにドアをたたく音が聞こえる もしかしてと思ってドアを開けると寝間着姿の母が立っている 昼間でも机や家具を頼りにしながら家の中を歩く母が電... 2020.09.21 Ⅳ.母在宅介護2