Ⅰ.突然・・・

Ⅰ.突然・・・

任務遂行

何度目の母の入院の時か忘れたが明日も病院に行くねと母に告げた翌日に雪が降った 会社帰りにいつもの電車とバスを乗り継いで病院に向かったが かなりの降雪で電車もバスも遅れに遅れてもう消灯時間も迫ってきて間に合わないかと思ったが あと15分くらい...
Ⅰ.突然・・・

再入院

診察室で母がいつから躁状態に戻ったのかと母の担当の先生に聞かれて私はちょっとぶっきらぼうに退院した日からだと答えると 先生はえーっ?と少し余裕のあるそんな馬鹿なと言いたげな様子だったが診察を受けるとすぐに母の再入院は決まった この再入院の前...
Ⅰ.突然・・・

きざみしょく

病室に母の食事を運んできてさあ食べさせようと食器の蓋を取ると何の手違いかきざみ食ではなかった 母は入院する際にあぶないからと入れ歯を外されてからその後もずっと入れ歯をしないでいたので食物が小さく刻まれていないと食べることができない そうなっ...
Ⅰ.突然・・・

戦場の母

死んでしまうのではないか 決して命にかかわるようなそんな病気ではなかったが 母の初めての入院は心配で入院してからほぼ毎日病院に会いに行ったが 病室に置かれる医療機器や母の体につながれる管が日に日に多くなり 意識もはっきりせず薬で朦朧としてい...
Ⅰ.突然・・・

夜ごとの嵐

躁状態になってしまった母は 病院で処方された薬を飲んでそれが効いてくると殺気立った状態が一転してパタッと倒れるように眠ってしまう 大人しくなって助かったと思うが一時的に落ち着いただけでまた元に戻るのは分かっていた それに不自然によく効く薬は...
Ⅰ.突然・・・

繋がる

むかし映画の「バベル」を見た時に自分では気づくことのできない自分の一番大事なものに気づかせてくれるこれが神様の愛というものなのか?と思った 一番大事なものに気づけずにないがしろにしていたりあるいは気づいていてもそこから逃げ続けていると ある...