夜明けの着信

夜明けの着信で
父の危篤を知り
慌てて支度をして
病院に到着すると

肺炎で今晩が山場だと聞かされた

2-3日前に
電車で2時間ほどかけて老健まで
父に会いに行った時には
特に変わった様子もなかったが

会わせたい人がいたらすぐ呼んだほうがいい
そして心肺停止した時に
蘇生措置を希望するかどうか
決めるよう言われた

延命はしなくていいと
漠然と考えてはいたが

生きるか死ぬかの問題を
今この場で一人で決めてしまうのは
私だけでは役不足だと感じて

滅多なことでは連絡をしない
父の弟である叔父に電話で相談したが
特に驚きもせず淡々と
仕方ないといった風だった

確かに80歳を過ぎて
亡くなってもおかしくない年齢ではあるが
肉親の死を日常の一部のように
淡々と受け入れる様子に
私は何とも言えない気持ちにもなった

そしてその日の夜遅くに
父は息を引き取った

確かに父が亡くなっても
時間は止まることなく

父の死も
日常の一部として流れていった

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