温めたミルクをマグカップで
椅子に座る父が差し出した
両手の中において
私が手を離すと
ちゃんと持っていることができずに
こぼしてしまった
眠たかったのか
もうマグカップを受けとる力さえ
残っていなかったのか
父はお腹の調子を気にしてか
自分でミルクをあたためて
よく飲んでいたので
その日は椅子に座って
寒そうに沢山着込んで
ぼんやりしていた父に
私がミルクをあたためてあげることにした
元気なころには
冬に時々雪が降り積もると
家の前の私道の
端から端まで連なる何件もの家の前の道を
朝から雪かきをしていた父だが
どこまで衰えていくのだろうか
どうにかしなくてはと思いながらも
父を見守るだけの日々が続いた
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