初詣

急な坂道
車椅子を押しながら
上りきって
境内の中に入っていく

皆がお参りをするのは
数段の階段をのぼった先になるが

階段の下に止めた車椅子の
母に向かって

こうやって手を合わせて
お参りしてねと

私が両手を合わせると

母もそれを真似て
手を合わせて
目を閉じて

車いすのまま
少し離れたところから
お参りをする

私も手を合わせて

まずは
今年も無事に
車椅子で急な坂を上りきって
お参りができたことに感謝して
今年一年の家族の無事を願う

信心深い母は
ブームになるずっと前から
御朱印帳を持ち歩いていたが

初詣で神社に来て
神様に手を合わせて
お祈りしていることを
理解しているだろうか

そんな事を思いながら

帰りも
急な坂道
気を抜くことはできない

私にとって
車椅子の初詣は
坂道での息切れ具合から

1年ごとに
自分の体力の衰えの程度を自覚する
バロメーターでもあった