食が細くなり
床屋にも行けなくなり
髭もそらなくなった父
顔が細くなり
ざんばら髪で
伸びるに任せた無精髭
父の顔をまじまじと見ると
まるで山羊のようだと思った
もちろん、こんなヤギ男になるまで
放っておいたわけではない
長年、母の介護をしていたので
父にも介護サービスが必要だと感じてからは
ケアマネージャーに相談したり
近所の通えそうなデイケアを探し
通えるように手続きをして
父に了解も取って
ついにデイケア初日の朝
車が迎えに来てくれたが
父は寝床から起きてこなかった
その後も何度かデイケアの方は
朝迎えに来てくれたが
父が起きて出かけることはなかった
デイケアに行かないだけでなく
本人の意思に反して
大きな身体の父を
周りが手助けをすることは難しく
母の場合のように
家族が何を言っても駄目でも
敬っていたお医者さんの言うことなら
従っていたような
そんな存在がいたのかどうかも
わからなかった父の場合は
結局放置状態となり
ヤギ男が出来上がっていった
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