プロローグ

母がこわれて
モンスターに
制御不能になった

突然やってきた嵐

乗り切るためには
普段の生活も
頭の中も
心も
否応なく
一瞬にして
変化させられて

始まった介護に
右往左往しながら
順応すべく
いつまで続くのか
そんな事を考える余裕もないまま
非常事態の日々は続き

しかしだんだんと
非常事態が日常となり

認知症が進むにつれて
無邪気になっていくその姿に
いつしか癒され
心地よささえ生まれて

この安らぎの時間が
いつまでも続くと思いたかった
そんなある日

また突然に
その日常の心地よさも奪われるように
消えてしまった

私は30代半ばから50代半ばとなり

今でも
私の心の中にある20年間の
心地よく
安らぎの時間となっていった
介護の日常の

様々な場面
言葉
感触
感情・・・

自分の心の中に
その時々に
よみがえってきた
私的な思い出を
言葉にしていく

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