サイン

忙しい毎日
気に留めることなく
過ぎていったいくつかのことが
ふとよみがえる

静かに座って仕事をしていると
トク、トク、トクと
時々感じる自分の心臓の鼓動が
段々と小さくなって途切れていくのを
時々感じるようになった

医者に診てもらった方がいいかなと
漠然と思いながらも
もくもくと手を止めずに仕事を片付けた

横目で鏡に映る自分をふとみると
自分の顔に母の面影が見えた時には
最近太ったせいかと思った

通勤途中に
2日連続同じ場所で
大きな黒い蝶が
身体にまとわりついてきた

母が亡くなって
少し時間が経って落ち着いた頃に

亡くなる1か月くらい前に起こった
いくつかの出来事を思い出した

身体がわりと弱くて
心臓の動悸や息切れを感じることが
時々あるようだった母

黒い蝶がまとわりついてきたのは
母が朝、デイケアに向かう車が
見えなくなる曲がり角

母は時々体調を崩しても
大事になる事がなく何度も回復していたのが

今回はいつもと違ったことに
気づけなかった自分の
間抜けぶりに
あきれ果て

自分がもっと早くに
出来たことがあったはずだと
後悔の念に苛まれ続けていた時に

ふと思い出した出来事

自分の心臓の鼓動が聞こえたり
自分の顔に母の面影が見えたり
黒い蝶がまとわりつきてきた

あれらは
母からの別れのサイン?
お別れのあいさつだったのだろうか?

そういえば
心臓のトクトクという鼓動も
自分の顔に母の面影が見えることも
もう感じることはなくなっていた

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