書きかけの寄せ書き

「早く元気になりますように」
「またお会いするのを楽しみしています」

母が亡くなって
自宅に安置されている時に
お世話になっていた
グループホームの職員の方が届けてくれた
母の顔写真が真ん中に貼られた
寄せ書きの色紙は

その死があまりにも急だったことを
物語るように
未完成で余白部分も多く

翌月の母の誕生日には
どんなケーキでお祝いしようかと
考えていてくれていたことも
話してくれた

父の時もそうだったが
発熱から肺炎になり
あっという間に帰らぬ人となった時に

年をとると
些細なことが
本当に命取りになってしまうことを
その時に心に強く刻んだつもりで
いつも忘れていなかったはずだが

その教訓は
いざという時に全く生かすことができずに

まだまだ続くと思っていた
ぬくぬくと温かかった
母との日常は

心の準備もできぬまま
あっけなく終わってしまった

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