お兄さんたちの事

夜勤明けのグループホームのお兄さんが
親族だけの葬儀を数日後に控え
家に安置されている
亡くなった母に会いに立ち寄ってくれて

母がグループホームで
好んで飲んでいると聞かされていたジョアを
上着の懐のあたりから、さっと取りだし
さり気なく手向けて
お線香をあげて手を合わせて静かに帰っていった

その前日の夕方訪ねてきてくれた
グループホームの別のお兄さん達2人は
母の顔の上の白い布を取ると
わんわんと声をあげて泣きながら
母の名前を何度も呼んでいた

以前、母がお兄さんの手を
ぎゅっと握ってくれた事があった
と話しながら
浮腫んでぱんぱんになった母の手をぎゅっと握って
そして、お線香をあげてくれた

お兄さんたちが帰っていき
静まり返った部屋に
無言でベッドに横たわる母

お兄さんたちの思いを
どんなふうに受け止めただろう

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