朝、母を起こしに
ベッドまできたが
母の姿が見えない
布団をめくっても
そこにもいない
伝い歩きも一人ではおぼつかないので
まさか、一人で起きて
どこかへ行くとは考えられない
母の介護用のベッドと密接している押入れが
開いていることには気づいていたけれど
押し入れを自分で開けて
その中へ入り込むことなど
考えてもみなかったのだが
まさかと思い中をのぞくと
押し入れの下の段にうずくまって寝ている
母の姿が見えた
何を思って
夜中に押し入れを開けて
その中へ入っていったのかは不明だが
押し入れの寝心地は悪くはなかったようで
いつもと変わらぬ様子で目覚めて
デイケアに行き一日を過ごした
しかしそれからは
さすがに危ないので
母が寝ながら手を伸ばして
押し入れの戸を開けられないよう細工をしたので
それ以降
押し入れへの冒険の道は
閉ざされた
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